いい三味線の胴の内側は、綾杉(あやすぎ)と呼ばれるギザギザの彫り方がしてあり、反響効果が増す構造になっています。
箏の甲の内側もそうですが、やはり音がよく響くようにこの細工が施してあります。
綾杉のなかでも2種類あり、ギザギザの山が一重のものをたんに「綾杉」と呼び、寄り添った二重になっているものを「子持綾杉」(こもちあやすぎ)と呼びます。当然、子持綾杉のほうが細工が細かいので、より高い三味線に使われていることが多く、音の反響もそれだけ増えるということになります。
よくコンサートホールでも、音が拡散し残響が長くなるように、ギザギザの形になっていますが、要はこれと同じことです。昔の人は少しでもよく響くよう、音響測定などがなかった時代でも職人の勘と感覚で、こんな見事な技術を会得していたんですね。
(ちなみに、この胴は、津軽の胴なので丸穴に「リンドウ」という金具が付いています。他の三味線には、この金具はありません)