和楽器ことはじめ


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「日々是知進」


      五
     矢口隹
      疋

 お茶碗や庭石にこんな文字が書かれているのを見たことはありませんか?

 中央の「口」(くち)を合わせて時計回りに、「吾唯足るを知る」(われただたるをしる)と読みます。禅の哲学ですね。
 余計なものは不要。無欲で生きなさいという教えですね。


 私はとても欲の多い人間です(笑) 言い方を変えれば、欲もありますし、向上心もあります。もっと弾けるようになろうとか、先生に誉められようという欲もあります。もちろん誰も叱られることを目標にはしませんよね。
 特にお稽古ごとは目標がないと続きません。それを何に置くかは自由ですが、やるからにはやはり中途半端ではやりがいがありません。私は三味線を始めて、ようやく「やりがい」「生き甲斐」というものを見つけたような気がします。やはり、おもしろいことは続きますね。

 もちろん今からプロになろうとは考えませんが、「プロになるくらいの気持ちでやらないとダメ!」と先生に言われたことがあります。それは、お稽古を始めて3ヶ月くらいの、まったく進歩のない日々でした。やっていないのでお稽古に行くのがイヤでイヤで、ノイローゼにさえなりました。また、腕の上がらない自分に嫌気がさしていました。当然、稽古は片手間になり、一夜漬けになります。そして叱られたのです。
 もろもろのことが重なり、無理にお願いをして半年ほどお稽古を休みました。今年になってようやく弾きたいという気持ちになり、復帰させていただきました。でちゃんと弾きだすと、腕も上がるのでおもしろくなって真面目に稽古するようになりました。ひと月ごとに曲が進むようになり、相乗効果でますます稽古に身が入ります。

 で、「色種」です。果てしなく難しいけど、超おもしろいです!
弾くたびに、わずかながら進歩しています。この前弾けなかったところが、きょうは弾けたりして、うれしくなってしまいます。
 また全然モノにならないところは、イライラしますが、もうちょっとがんばれば、弾けるとの思いから、なにくそ!と負けん気になります。

 「吾唯足るを知る」というわけにはいきませんが、「日々是進むを知る」の心境です。長文失礼致しました。
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by wagakkiya | 2005-04-30 03:29 | 三味線お稽古(31)


歌舞伎~女形


 この前、NHKの芸術劇場で勘三郎襲名・三月興行大歌舞伎の“バカ殿”「一條大蔵譚」(いちじょうおおくらものがたり)をやっていた。
 襲名披露でこんなおマヌケな芝居をやっていていいのかと不安になってしまったが、おもしろかった。志村けんの「バカ殿」の原点はこんなところにあったのかと深く頷いたものだ。
 自由気ままでキテレツな行動を取る殿(=一條大蔵)の周りを二、三十人の腰元たちが付き添っていたが、あれがみんな男だと思うと、やや鳥肌が立った。

 そんななか「お京」役で、ひときわ目立つ女形が出ていた。途中から見出したので役者の名前も分からず、ただ家族で「うまいねえ」と言いながら見ていた。正体は、坂東玉三郎だった。
 私としては、女形は(市川)笑也が好きだが、それを上回る所作で、きれいだった。さすが、玉三郎、役者が違う。
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by wagakkiya | 2005-04-29 23:58 | 歌舞伎(9)


リンクさせていただきました



どこに書いてよいやら、はたと困ってしまったので、お知らせ方々、記事にしちゃいました(笑)

女将さえこの今宵の酒肴
 ~おいしくて健康に良さそうな手料理の酒肴と、
  長唄・日本舞踊などお稽古に励んでおられる、
  さえこさんのブログです。ちょうど私と同じ
  時期に初舞台を迎えられました。


寿美栄のにつ記
 ~小唄や端唄をはじめ長唄、義太夫と幅広い
  三味線のお話に加え、落語や着物、和菓子など
  江戸情緒たっぷりの、くりさんのブログ。
  特に小唄の歌詞は粋で、タメになります。


顔顔のひとこと多いひとこと
 ~私が別人格となって(?)世間に向かって
  “がおがお~”と遠吠えする、なんでもありの
  つぶやき日記です。三味線や邦楽などは皆無です。

どうぞ、これからも、ごひいきに。
よろしくお願い申し上げ奉りまする。
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by wagakkiya | 2005-04-28 03:40 | 心の琴線(4)


色種~虫の合方


d0001411_3205338.jpg

虫の合方、初稽古です!
いや自分でさらってみただけなんですが、ありゃもう曲芸ですよ。ゆっくりですら弾けない。写真は「虫」の譜面ですが、これだけで弾いて、いや退いてしまいます。悲しいかな現実です……。
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by wagakkiya | 2005-04-27 03:20 | 三味線お稽古(31)


三味線の調子~三下り~

 今度は「三下り」(さんさがり)の話です。

 三下りは、「明の鐘」(あけのかね)や「越後獅子」など江戸情緒の雰囲気のあるしっとりとした曲や場面に多い調子です。
 三下りですから、本調子から三の糸を一音下げます。たとえば、四本で本調子に取っているなら、C/F/C・のC・をA#・に下げます。
 (「・」は便宜上、1オクターブ高いことを表します。)
 ピアノの白鍵・黒鍵の並びを見ればおわかりのようにB(シ)とC(ド)は半音なので、ハ長調だと「ド」を「ラ#」(=シの♭)に下げるということです。

         本調子  二上り  三下り  
一本 A     A/D/A  A/E/A   A/D/G
二本 A#(B♭)
三本 B     B/E/B  B/F#/B  B/E/A
四本 C     C/F/C  C/G/C  C/F/A#
五本 C#(D♭)
六本 D     D/G/D  D/A/D  D/G/C
七本 D#(E♭)
八本 E     E/A/E  E/B/E   E/A/D
九本 F
十本 F#(G♭)
十一本G     G/C/G  G/D/G  G/C/F
十二本G#(A♭)

 長唄の名曲「秋色種」(あきのいろくさ)では、曲の後半で、二上りから三下りに転調します。本調子から三下りにするのは、三の糸を一音下げることで済むので、一本の糸巻きを変えるだけでいいのですが、二上りから三下りにするには、二の糸を戻して、三の糸を下げなければなりません。これは二本の糸巻きを回さなければならず、手間です。

 そこで、一の糸を一音上げることで、相対的に三下りにします。これなら、糸巻き一本を変えるだけで済みます。よく考えられたものです。
 つまり四本で本調子(C/F/C)に取っているのなら、二上りでC/G/Cとなっているわけですから、三下りとするためには、一の糸を一音上げて、D/G/Cとします。これだと六本の三下りとなりますね。(上の表を見てください。)


 三味線の楽譜(譜面)については、音符に別の表記がしてありますよね。これについては、またお話しします。
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by wagakkiya | 2005-04-26 20:35 | 三味線お稽古(31)


歌舞伎座の建て替えを検討

 東京・銀座の歌舞伎座が老朽化のため建て替えを検討とのこと。
勘九郎改め 勘三郎襲名で湧いている歌舞伎界だが、こういう現実もある。
 箱の大きさは、これ以上大きくなると、ますますオペラグラスが手放せないし、声や音が聞き取りにくくなるので、なんとか今の奥行き程度にしていただきたいものだ。
 役者の声や、簾内(みすうち)をはじめ三味線や鳴物の音がどれだけ臨場感を伴って、(とりわけ3階席の)観客に伝わるかという音響的な問題もひとつあるだろう。

 今の建築も鉄筋コンクリート造で、木造の芝居小屋とは異なるが、それでも雰囲気と造形美はいいのだから、踏襲してほしいものだ。やはり伝統は受け継いでいくべきものであるから。

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建て替えが検討されている歌舞伎座
老朽化が進み、建て替えが検討されている「歌舞伎座」。歌舞伎座は、国内歌舞伎興行の中心施設。現在の建物は1950年末に完成。国の有形文化財にも登録されている(21日夜、東京都中央区)(時事通信社)21時33分更新
(ソース)ヤフー写真ニュース(時事通信)
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by wagakkiya | 2005-04-25 00:46 | 歌舞伎(9)


三味線の調子~二上り~

「二上り」と書いて「にあがり」と読みます。「が」が抜けてますが、いいんです。三味線では、こう表記するんです。
ちなみに「三下り」も「みくだり」ではありません。離縁状とは違うのです。「さんさがり」と読みます。

さて、今回は二上りのお話。ちょうど「五郎時致」の途中から転調(本調子→二上り)します。
なので、説明しやすいですね。
二上りは、明るい調子です。民謡や音頭にはよくある、ぱっと花が咲いたような音階になります。
二上りですから、二の糸を一音上げます。
たとえば、四本で本調子に取っているなら、C/F/CのFをGに上げます。ハ長調だと「ファ」を「ソ」に上げるということです。

        本調子   二上り
一本 A     A/D/A  A/E/A
二本 A#(B♭)
三本 B     B/E/B  B/F#/B
四本 C     C/F/C  C/G/C
五本 C#(D♭)
六本 D     D/G/D  D/A/D
七本 D#(E♭)
八本 E     E/A/E  E/B/E
九本 F
十本 F#(G♭)
十一本G     G/C/G  G/D/G
十二本G#(A♭)

なぜ転調しなくてはならないのか、まだ疑問ですが、
おそらく共鳴と和音(わおん)のためでしょう。
二の糸と三の糸をいっしょに弾いた時に出る共鳴音(協和音)は
とても明るくなります。たとえば、1オクターブ違いの4#と4・#です。また二の糸の開放絃(=4#)も明るくなります。

もっともっと楽理を勉強しなくてはなりませんね。
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by wagakkiya | 2005-04-24 02:12 | 三味線お稽古(31)


長唄全集(十三)五郎時致/蓬莢/秋色種 芳村伊十郎(七代目) / コロムビア


「名曲セット」と言える、三曲が入っています。

「五郎時致」「蓬莱」「秋色種」です。最強です。

「秋色種」の三味線は、山田抄太郎に、上調子:杵屋五三助(のちの人間国宝・五三郎氏)です。
七代目伊十郎に、このコンビなら間違いがあるはずがありません。
まさに、名演です。

長唄全集(十三)五郎時致/蓬莢
芳村伊十郎(七代目) / コロムビアミュージックエンタテインメント
スコア選択: ★★★★★

「蓬莱」リズミカルな祝儀曲で好きです。名曲名演の「秋色種」も入っています。
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by wagakkiya | 2005-04-22 03:16 | CDレビュー(7)


お稽古~秋色種

「五郎」の次の曲は・・・

大曲「秋色種」(あきのいろくさ)です。

なに、この巨大な壁は!

「小鍛冶」(こかじ)や「鞍馬山」ではありません。
「都鳥」でもありません。
私の好きな「蓬莱」でもありません。

長唄史上、最高の名曲と言ってもいい「秋色種」です。

なにゆえ、一足飛びに「色種」(略して「いろくさ」)なのか!
もちろん、次の曲が「色種」だというのは知っていましたが、
いざ、予習を始めると、まったく曲になりません。

最初の「前弾」(まえびき)くらいはなんとかなりますが、
唄に入ってからは何を弾いているのかわからなくなりました。
音が流れていかないのです。
やはり「壁」です。

これは一年かけても損はないというほどの曲です。
そんな悠長なことは許されないだろうけどね(笑)

ちなみに、「色種」の次は「八景」(吾妻八景;あづまはっけい)が控えております。
ひえ~~~~っ! 堪忍して~~~~!
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by wagakkiya | 2005-04-22 02:48 | 三味線お稽古(31)


お稽古~五郎時致(2)

「五郎」初めてのお稽古の結果は・・・○(まる)でした。

大薩摩の「本手押し重ね」は難しく、何度もつけてもらいましたが、それ以外は、おおよそ弾けました。転調(本調子→二上り)もわりとスムーズでした。

実は、先輩方のおさらい会を観ても、「五郎時致」がひとつのハードルだということがわかりました。
初歩なのに名曲の「松の緑」、ほとんど音源がないが手のおもしろい「末広がり」と比べて、「五郎」は表現も複雑ですし、また最初のうちは長いだけの曲に感じられてとらえ所がありませんでした。(なんせ、仇討ちと郭通いですからね(笑))

だから何度もテープを聴き、難しい手のところは流れるまで何度もお稽古を重ねました。おさらい会から二十日ほどあったので、二日で1ページのペース(全部で11ページ)で進めました。

結果、「よく勉強してるね」と誉められました。

また、「おもしろくなってきたね」と先生の破顔は印象的でした。
この「おもしろくなってきたね」というのは、この調子でつづけてやれば、もっと先へ伸びるよという意味のようです。
おさらい会でも、稽古事は真剣にやらなくてはいけないとおっしゃっておられました。
まじめに稽古すれば、その分成果が生まれ、報われるということです。

いままで一夜漬けで、稽古事はあまり真剣にならなかったのですが、今回は違います(断言)。

車の中でも長唄のCDを聴き、仕事のBGMも長唄。
家や風呂ではついつい口三味線。
頭の中で三味線の音がグルグル走り回っています。
中毒でしょうか(笑)
最近は脳内と口三味線で作曲もしたりしてます。

暇さえあれば、弾きたくなるし、弾かないと手が震えてきます。やっぱり中毒なんだな(爆)
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by wagakkiya | 2005-04-21 15:50 | 三味線お稽古(31)

    

和楽器屋の職人仕事と邦楽・伝統芸能の魅力をわかりやすく熱く語ります!
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