先生が稽古用にお使いの三味線は、花梨にしては白っぽく、いかにも年季が入っていたので、「(棹の)木は何ですか?」と訊いたら、「樫」(かし)とのことだった。
そう言えば、昔は樫の三味線もあったと聞いたことがある。
三味線の棹は、堅いものがいいとされる。また目が詰まったものがいい。それは木が狂わないから。樫も堅い木だし(木偏に堅いだから、まさにそうですよね)、国産材である。おそらく白樫(しらかし)ですね。
花梨(かりん)より紅木(こうき)がいいのもそのため。決して色ばかりではない。しかし、この二つはいずれも東南アジアなどの外材である。
右に並んでいるのは長唄の紅木の三味線。糸巻も樫についているのが黒檀で、紅木のほうは象牙である。
(追記)樫の三味線は、小唄が多いと父が言っていた。
先生もお弟子さんにもらったものだとおっしゃっ
ていたので、その可能性は高い。
ただ樫は、三味線の棹にしては軟らかいのだ
そうだ。漢字に惑わされてはいけない(反省)