「二上り」と書いて「にあがり」と読みます。「が」が抜けてますが、いいんです。三味線では、こう表記するんです。
ちなみに「三下り」も「みくだり」ではありません。離縁状とは違うのです。「さんさがり」と読みます。
さて、今回は二上りのお話。ちょうど「五郎時致」の途中から転調(本調子→二上り)します。
なので、説明しやすいですね。
二上りは、明るい調子です。民謡や音頭にはよくある、ぱっと花が咲いたような音階になります。
二上りですから、二の糸を一音上げます。
たとえば、四本で本調子に取っているなら、C/F/CのFをGに上げます。ハ長調だと「ファ」を「ソ」に上げるということです。
本調子 二上り
一本 A A/D/A A/E/A
二本 A#(B♭)
三本 B B/E/B B/F#/B
四本 C C/F/C C/G/C
五本 C#(D♭)
六本 D D/G/D D/A/D
七本 D#(E♭)
八本 E E/A/E E/B/E
九本 F
十本 F#(G♭)
十一本G G/C/G G/D/G
十二本G#(A♭)
なぜ転調しなくてはならないのか、まだ疑問ですが、
おそらく共鳴と和音(わおん)のためでしょう。
二の糸と三の糸をいっしょに弾いた時に出る共鳴音(協和音)は
とても明るくなります。たとえば、1オクターブ違いの4#と4・#です。また二の糸の開放絃(=4#)も明るくなります。
もっともっと楽理を勉強しなくてはなりませんね。