(下棹(左)と中子)
三味線の棹は分解できるよう、上棹(かみざお)・中棹(なかざお)・下棹(したざお)と三つに分かれていてホゾで継いであります。
また糸巻きが入っている天神と上棹、胴に差し込む中子(なかご)と下棹は、膠(にかわ)によって接着してあります。膠とは獣や魚(サメなど)の骨や皮などから採れる粘質物で、天然の接着剤です。棹だけでなく胴の四周の部材も膠で着けます。ただ最近は木工用ボンドも質が向上しているので、全部が膠というわけではありません。
どうしても長年使っていると、接点は合わなくなってきます。特に、この胴と棹の取り合いは微妙なもので、まさに紙一重で狂いが生じます。中子が外れるのも、胴の振動が考えられます。そうなった場合、自分で補修せず、和楽器店に持ち込んでください。料金は2,000円以下です(おそらく)。
膠は湯に溶いたあと、直接温めず、湯煎(ゆせん)をして温度を上げます。飴色になり、とろみが出てきたらOKです。これを手早く接着面に塗り、圧着させます。完全に固まるまで4,5時間はかかりますが、乾いて強度が出てからは、はがそうとしてもビクともしません。これが膠の利点です。
接着は、まさに時間との戦いで、接着面を合わせてから、しばらく握って動かさないことが肝要です。はみ出た膠はあとから拭き取ります。